アベフトシ
あけおめ記事の直後でなんだけど、元Thee Michelle Gun Elephant(ザ ミッシェル ガン エレファント)のアベフトシが亡くなっていたことをオレは今頃になって知りました。
惜しまれながらのバンドの解散後、それぞれのメンバーがまた違った形で活動を始めていたのに対し、アベだけは沈黙を守っていたのを不可解に思っていた。
なぜならTMGEはヴォーカルのチバユウスケの意味深な詞もさることながら、アベのカッティングギターが特徴で、「アベのギターがなくてはTMGEではない」とまで言われ、それだけの存在感を見せていた人間が所属バンドが解散しただけで活動を停止するのは、ある意味不自然にも思えたからだ。
知ってる人達はみんな「次は一体何を始めるんだろう?」とか、「あれだけのギタリスト、絶対引っ張りダコなんだろう。」なんて秘かな期待をしてただろう。
ところがアベの新しい情報は待てど暮らせど出てこなかった。
初めてオレがアベのいたThee Michelle Gun Elephantを知ったのは学生時代。
当時「オルタナティブ」っていうカテゴリーが流行っていた。
この当時のオルタナの意味はすごく狭い意味のもので、ただ単に「サビがない」とか、既成のポップソングのメロディーに捕われないというものだった。
その「オルタナ」の代表的バンドNirvanaと日本で並べて紹介されていたのがTMGEだった。
高校時分からご多分に漏れずNirvanaにハマっていたオレが、興味本位で買ったのがアルバム「Chicken Zombies」。
かっこいい、あまりにかっこいいロックンロール。
スーツ姿のロックンロールで一番に思い出したのはルースターズだった。
ヴォーカルのチバも触れていることだけど、直接ではないにせよ、やっぱりめんたいロックの影響は隠せない。
「老若男女、だいたいどの年代でも踊らせちゃうよ?」ってまさにその通りだった。
一瞬で虜になってしまった。
すぐに全アルバムを買い、ヘビーローテーションで聴きまくり、ツアーがあればライブに行った。
「チバーーーー!!!!」とか「アベェーー−ー!!!」なんて叫んでたな〜、オレ(笑)。
TMGEの初期を除く、でもほとんど全ての楽曲を手がけ、TMGEをまさに伝説のロックバンドに仕立てあげた。
アベは故ジョニー・キッドが率いたバンドThe Piratesのギタリスト、ミック・グリーンや、Dr.Feelgoodのウィルコ・ジョンソンを師事しながらバンドを率い、絶頂時には共演まで果たしている。
メディアへの露出は極度に少なかったけど、また逆にそれがファンの心をつかんだ。
そしてオレはTMGEを聴きながらドイツへ留学した。
海外に行ってしまったあとも、こいつらはずっとこのまま行くんだろうって思ってた。
このロックンロールはずっとこのまま続いていくんだろうって。
でもそれはファンの幻想でしかなかった。
解散を表明しながらのラストアルバム「Sabrina Heaven」発売。
解散後の長い沈黙。
あまりに沈黙が長過ぎて、オレは彼のことを忘れかけていた。
久しぶりに、本当に久しぶりにアベのことをネットで検索してみた。
そこで知らされる彼の死。
アベフトシ、2009年7月に急病のため逝去。享年43歳。
正直ショックだ。
ベタかも知れないけど、あまりに早すぎる。
合掌