EXAKTA66 リストアレポート

2009年7月18日

以前の試撮からしばらく経ちましたが、現像上がってきました。
エクターの粒状性もあると思うけど、それよりXenotar 80mm/F2.8の描写力が光ってます。
ハッセルのPlaner(プラナー)を凌駕すると言われるXenotar。両方使ったことがあるけど、甲乙つけがたいです。個人的には、Xenotarの方が開放時のボケ方がふにゃふにゃ(と思われる)で好みっす。

何はともあれ、エクターについての細かい画質はもっとスキャンしたりして見てみないと分からないので、とりあえずEXAKTA66のリストアの結果です(以前の記事へ)。
結果から言うと、たしかにリストアの効果はありました。
Vielen Dank,Herr Baier!_0015932.jpg
ただ確かにコマだぶりはなくなったけど、今度は逆に巻きすぎてしまったコマも目立ち出しますた。
ちゃんと例のポッチンを見ながら撮影はしてたんだけど・・・。

反省点として、このバイヤーフォト(HPはこちら)の巻き上げ修正モジュールは、あくまで「コマだぶりがないことをチェックできる」機能であって、巻き上げそのものを制御するものではないということ。
この青いポッチンが出るまで巻き上げノブを戻さず巻き続けろってことだけど、青いポッチンが出たときが「コマだぶりがなくなった」事を示し、必要以上に巻いてしまった場合はそれだけコマの間の間隔が空いてしまう。つまりはストッパーがない分、巻こうと思えばどこまでも巻けてしまうってこと。
巻きすぎると当然その分コマを(未露光で)ロスしてしまい、本来12枚撮影できるはずが、それ以下になってきます。
適切にコマの間隔を保つためには、巻きながらこのポッチンが出てくるタイミングを正確に確認して、それ以上むやみに巻かないことが重要だと分かりました。結構感覚だなー、これ。

_0011864.jpg
ちなみにこのリストアの際に、ついででミラーアップ機能(半押しでミラーアップ、押し込むとシャッターが切れる機能、バイヤーフォトが上記の「巻き上げチェック」とともに提供してる目玉サービス)もお願いしておいたんだけど、こちらは絶好調です。シャッターを切るのが気持ちええです。
ただ難点というか、不安材料として言えるのは、半押しでミラーアップするとフィルムの巻き上げができる状態になってしまうこと。
要はミラーアップしただけの状態でシャッターを切ってなくても次のコマに送れてしまうので、ちゃんと最後まで押し込んで撮影したことを確認してからでないと、単なる未露光のコマができるだけになってしまう。ビミョー。

まあどちらの改良内容もバイヤーフォトのうたうとおりに仕上がっていて、こっちがちゃんと忘れず配慮すれば問題なく稼働するものでした。

フィルムの巻き上げについてはもっと根本的な解決が望まれるけど、これがどうやら難しいようです。以前にARAXカメラについても書きましたが、ARAXは基本的にKIEV66(キエフ60)をベースに改造を加えていて、完璧なコマ送り、ミラーアップ機能などで信頼の高さは圧倒的でした(ARAX関連の記事へ)。
このARAXの元となったキエフの面白いところが、そもそもペンタコンシックスのイミテーションだったはずなのに、フィルム巻き上げ機能は本家ペンタコンシックスを上回るということ。
確かにキエフのフィルム巻き上げは生産当時より問題視されてきたけど、実はリストア業者に言わせると、意外にもこれを正常に修正するのは、ちょっとしたコツさえあれば至って簡単だそうです。(→これがARAX)
それに対して本家のはずのペンタコンシックス(後継のEXAKTA66も)は設計上この修正がほぼ不可能らしい。
結果バイヤーフォトがやっている改造が苦肉の策だけどベストになるわけです。

何かはかないっすね、このカメラ。すごい微妙なバランスの上に存在できてる感じで、広島カープで言うと前田選手みたいです(何じゃそりゃ)。
いや、めっちゃ能力あるのに故障でなかなか本領を発揮できないってとこがね。でもだからこそ愛されるんだけど。
今のところ仕事で使うにはあまりに危険なカメラです(笑)が、しっかり使えるようにマスターしてあげたいものです。

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