原点回帰

2008年3月 2日


帰国に伴っていろいろと処分しなければいけなくなってきました。
でいろんなものを只今Ebayに出品中。
その中にこのミノルタα7000も入ってる。
実はこのカメラはオレが写真を始めるきっかけになったと言える代物。

学生時の一時期、クラスの間でマニュアルの一眼レフを持つことが流行った。
流行ってたっていっても、使ってる当の本人たちは、使い方や原理なんて何にも分かってなかったと思う。美大生のおしゃれアイテムといった感じだった。
でもその影響で「そういえばうちの親父持ってたなあ」と思い出し、実家から引っぱり出してきた。

父親はこれをもともと、まだ小さかったオレの運動会を記録するために購入したらしい。
貧乏出の親父はカメラのことなんて一切分からなかったんで、その時の店員に薦められるままにこのカメラと望遠レンズのセットを購入。
今ではその店員が薦めた理由は理解できる。
当時このカメラは「世界初のオートフォーカス」として一大センセーションとなり、ちまたで多く取引されていた人気商品だった。
なのでこの時代にこのカメラを買ったお父さんはとても多い。
店員に薦められ、大した知識もないながら猜疑心いっぱいで購入に至るうちの父親が目に浮かぶようだが、父親はこのカメラで実際にオレの運動会を撮影していた。

「世界初のオートフォーカス」というと聞こえはいいが、今現在(すでに当時から言われていたらしいが)このAF機能は全く使えたものではない(笑)。
最新機器に比べて、合焦時間が異様に長く、「ジージー。。。」っと合うまでにも何回も前後へレンズが行き来する。
結局マニュアルで合わせた方が速いという結果になる。
それでもカメラを分からないうちの親父には、簡単に操作できるこのカメラは大いに役立ったことだろう。
オレが大きくなってからは一切用途がなくなり、床の間の隅っこでホコリをかぶっていた。

そんな経緯で学生時代にオレも何も分からないままに使い出し、いろんなものを撮った。
うまく撮れることがあっても、それがどうしてうまく撮れたのか分からなかったし、必要以上に原理を追求しようとも思わなかった。
この時代が、ある意味オレの写真歴の中で一番幸せな時期だったんじゃないかな、と思う。
結局大部分を理解することなしに大学を卒業し、ドイツへ。

ベルリンの大学に入る頃になって、カメラを理解できてない自分にフラストレーションを感じ出していたオレは、写真の授業を積極的にとった。
こうして写真を習ううちに、本業の絵画よりのめり込む。
そんな中、一時帰国時にこのカメラを持参したが、それまで十分だった機能が今度は不満に変わっていき、ついにα-9を購入。
大したレンズも持ってないのに、そのままミノルタAFレンズが使えるからだった。
それ以来α7000は機材庫の中で眠っている。

ちょっとセンチメンタルになる部分はあるが、餞別にこの文章を書いてみた。
まあオレはオレで物質主義者だから、これでいいんじゃないかな。
使ってくれない人の元にいるよりも、使ってくれる人のとこが幸せだと思う。
お世話になりました。

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